医心館Media
第2回がん看護研修
テーマは「疼痛コントロール~オピオイド・鎮痛補助薬~」
2021.12.17
12月16日、先月に引き続き第2回がん看護研修を開催しました。
今回のテーマは「疼痛コントロール~オピオイド・鎮痛補助薬~」。看護介護部のがん看護専門看護師である高橋が、薬を中心とする疼痛コントロールの基本を説明しました。医心館の入居者様には、終末期のがんを患う方が少なくありません。研修の内容を日々のケアに生かそうと、全国の医心館から看護師、介護士、ケアマネジャー、事務員など約100人がオンラインで参加し、大盛況でした。
医心館では、WHOによる疼痛コントロールの目標、鎮痛薬投与法の原則といった提言に則った上で、入居者様が望む生活を送ることができるようケアの目標や計画を設定しています。重い病気を抱えながらも趣味の競馬を楽しみたい、孫とLINEのやりとりをしている間は苦痛なく過ごしたい……などなど、お一人おひとりのご希望があります。髙橋は、そうした個別性をきちんと捉える大切さを改めて強調しました。
「痛いところをさすってあげることしかできません」。介護士から、このように言われることもありますが、痛覚よりも触覚・温覚の方が神経伝達においては優先されます。温かな手を当てること、痛い部分を手でさすること、「気持ち良いこと、楽になること」は科学的な根拠に基づいた疼痛緩和ケアです。
症状や薬の効果、副作用など様々な項目をアセスメント
そしてケア計画を立てる上では、どのような痛みなのかを詳細に聞き取るのが第一歩となります。
体性痛(骨転移の痛み、術後の創部痛、筋膜や骨格筋の炎症に伴う痛みなど)では「うずくような」「動くときに響く」と表現されたり、内臓痛(消化管閉塞や肝臓内の出血に伴う痛み、膵臓がんに伴う痛みなど)では「鈍い」「重苦しい」「押されているような」、神経障害性疼痛(がんの神経叢浸潤や脊髄圧迫などに伴う痛み)では「ピキッと電気が走るような」「ピリピリ」「しびれる」「しびれているから触らないで!」と表現されたりします。その痛みも日々変わり、昨日と今日の痛みは違うことも多いものです。今の痛みを把握するようにします。
痛みの程度に応じて、鎮痛薬であるNSAIDsやアセトアミノフェン、弱オピオイド、強オピオイドが順番に使われます。これらの鎮痛薬が使用されている時は、痛みの性状や突出痛の回数・タイミング、レスキュー薬の使用回数、効果の持続時間、そのほかの症状の変化などをしっかりアセスメントしなければなりません。
そのアセスメントが副作用への適切な対応にもつながります。例えばオピオイド3大副作用の一つ、嘔気には制吐剤が使われますが、必要以上に長い期間使うと錐体外路症状の恐れもあり、必要なくなれば医師が中止します。
また困った症状があるときは、副作用なのか、病状の進行によるものかを評価して医師に報告します。用量、レスキュー薬とベース薬のバランスなども確認しておけば、医師とディスカッションする際に役立つでしょう。今回の研修では、主な薬の特性や使用方法、副作用もおさらいしました。
今回の研修は「薬を使いましょう」というものではなく、「疼痛コントロール=薬剤調整だけ」ではありません。入居者様の状態を正確に把握して「今大切なこと」を共に考え、「次に起こること」を予測して検討できるチームであること。髙橋は、そうした大切さを説明して研修を終えました。