医心館Story

終末期でも退院を迫られてしまう現状
医心館なら最期まで過ごせる

終末期でも退院を迫られてしまう現状
医心館なら最期まで過ごせる
尾﨑 静香

医心館 看護管理者

尾﨑 静香

緩和ケア認定看護師の資格を持つ緩和ケアのエキスパート。急性期病院で看護師として長く勤めた後、キャリアを生かす新しいフィールドとして医心館を選ぶ。医心館の看護管理者として看護師・介護士チームをまとめながら、緩和ケアを実践する毎日。

医心館の看護管理者を務める尾﨑静香は、緩和ケア認定看護師の資格を持つ緩和ケアのエキスパートだ。母の勧めで看護の道に入り、大学病院と企業立の急性期病院で25年以上勤務。病院での経験を生かせる新しい職場として「医心館」を選んだ。

「今は病院に入院できる期間が短くなり、緩和ケア病棟であっても多くは1ヶ月ほど。お看取りが近い方も退院を迫られてしまいます。そんな中、最期まで安心して過ごせる医心館は地域になくてはならない施設です」と彼女は強調する。

病院にはない医心館の魅力とは。病院勤務の経験が長い尾﨑に聞いた。

緩和ケアを中心にスキルを深める

尾﨑は看護師資格を取得した後、大学病院で最初の職を得た。外科病棟と手術室を担当し、がん患者との関わりが多かったことが緩和ケアへの関心を高めるきっかけとなった。

緩和ケアは、生命を脅かす疾患を患う患者や家族の苦痛に対応し、QOL向上に導くアプローチをいう。「緩和ケアの範疇である『がん患者の症状コントロール』は、看護師にとって重要な検討ポイントの一つでした」と尾﨑は話す。患者のニーズや症状を把握し、医師の処方・指示をサポートして、いかに的確な症状コントロールにつなげるか。そうした意識を高く持つ先輩や後輩に恵まれ、尾﨑も症状の評価方法、薬の使い方、看護計画の立案、ケアなどの実践的な知識を深く学んでいった。

この経験は、彼女のその後に大きな影響を与える。次に勤めた企業立の急性期病院では緩和ケアの指導役を任され、看護部における水準の向上に貢献。さらに彼女は知識を確かなものとし、周囲に根拠を持って教えられるよう緩和ケア認定看護師の資格を取得した。当該病院で唯一の認定看護師として、終末期のがん患者等を受け入れる緩和ケア病棟の立ち上げや運営にも携わった。

彼女は内科病棟や整形外科病棟の師長を務めるなど様々な経験を積んだものの、緩和ケアに対する思いはとりわけ強い。その理由について、「看護師の幅広い視点を生かして患者さんに関われる点にやりがいを感じます」と説明する。

例えば、十分な薬物療法や医療処置を行っても辛い症状が解消されない人に対して、精神的な要因や取り巻く環境要因を踏まえて対応を検討する。その対応方法も、薬物療法などの医療的な内容に加え、マッサージ、温める、冷やすといった非薬物療法や本人のニーズを考慮したその他の方法を含めて検討する。こうしたアプローチは幅広い視点を持つ看護師ならではであり、看護力が生きる領域だと尾﨑は考えている。

彼女は25年以上病院に勤務した後、得意分野を生かせる次の職場として「医心館」を選んだ。「医心館は、実際に働いてみると病院で得た緩和ケアのスキルを大いに生かせる職場でした」と尾﨑は感想を述べる。医療依存度が高い方をお受け入れして医療や看護を提供しながら大切な時間を支える、思い描いていたケアを提供する場だった。

多職種が連携した長期間のケアで経口摂取を実現

病院にはない医心館の魅力は何だろうか。病院と医心館をよく知る尾﨑に聞くと、①希望の暮らしを叶える体制がある、②最期まで安心して過ごせる――の2点を挙げる。

まず「①希望の暮らしを叶える体制がある」について。
そもそも医心館は全室個室(医心館名張Iを除く)の生活の場であり、“自宅”のように個室で自由に過ごすことができる。十分な看護・介護体制を備えるため、人工呼吸器を使用する方も含めて週2回の入浴が可能であり、1日2回着替えて日中にはその方に合った活動的な時間がある。

それに対して、病院は生活の場ではない。治療を優先させるため病院のルールに沿って過ごし、ベッドはカーテンで仕切られた多床室であることが多い。体制や設備によっては入浴が不可能だ。

ここで具体的な事例を交えて、医心館の“希望を叶える”体制を紹介しよう。
重度のパーキンソン病を患うAさんは、嚥下機能の低下から誤嚥性肺炎を繰り返し、病院で「経口摂取は難しい」と判断され胃ろうを造設。退院後、医心館に入居した。

「Aさんは入居された当時からずっと、『死んでもいいから口から食べたい』と強い希望を訴えていました」。とはいえAさんの嚥下機能は低く、経口摂取は誤嚥性肺炎、さらには窒息のリスクがある。訪問診療の医師、クリニック看護師、医心館の看護師等でAさんの状態や食事の形状、量を慎重に検討。Aさんの強い希望を踏まえて入居から3ヶ月後、経口摂取を試すことにした。

「Aさんにとっては5ヶ月ぶりの食事でした。重湯を一口、二口含んだだけですが、口にしたときに『おいしい』と満面の笑みを浮かべられたのが印象に残っています」と尾﨑は振り返る。それから医師の指示のもと、介護士が必ず見守り、必要に応じて看護師が頻回な吸引をして誤嚥性肺炎を予防しながら経口摂取を徐々に進めていった。

途中、それでも誤嚥性肺炎を起こしたり、吸引処置に苦しむこともあったが、Aさんの経口摂取に対する希望が薄れることはなかった。「医心館では必要な対応をしながらも、食事の際は、介護士が配膳して『どんな味?』『おいしい?』と聞いて一緒に楽しみながらケアを継続していきました」。

それから9ヶ月経ち、Aさんは胃ろうからの栄養摂取を全面的に中止し、3食とも経口摂取に切り替えることができた。形状も、最初のムース食から刻み食にとろみ餡を加えたメニューに替わり、より食材や食事の味を楽しめるようになった。

「Aさんの嚥下機能は低いものの、食事の形状や量、対応を工夫すれば経口摂取をする力は残っていました。見守りや吸引、食事の検討には看護師や介護士がかなりの労力と時間を投じています。そうした体制が可能だから経口摂取が可能になったともいえます」と尾﨑は語る。病院では、このような期間をかけた、見守りや吸引などに多くの人手をかけるケアは難しい。

医心館は地域に欠かせないプラットフォーム

もう一つ、尾﨑は病院にはない医心館の魅力として「②最期まで安心して過ごせる」ことも挙げる。

近年、病院は「集中的な治療を受ける場所」としての位置づけが明確になり、入院期間が短くなっている。それは緩和ケア病棟も例外ではなく、1ヶ月程度しか入院できない病棟が増えている。「お看取りが近い状態の方も、治療が終われば退院を迫られてしまいます。病状の重い方を受け入れる施設は限られますし、ご自宅に帰ろうにも、ご家族の状態によってはかなりの混乱が生じてしまいます」と尾﨑は懸念する。

医心館であれば、十分な看護体制があり、24時間対応の訪問診療を行う医師と連携する。切れ目ない医療を必要とする重度な方を受け入れ、最期まで安心して過ごしていただくことが可能だ。医心館しかそのような施設がない地域もあり、不足していた機能を埋める存在となっている。

「国が病院から在宅への流れを促進させる今、医心館は地域に欠かせないプラットフォームといえます」と尾﨑は指摘する。

これから日本では、高齢者人口の増加とともに医療依存度が高い方も増えていくと想定される。「重度な在宅患者が増加する中、地域における医心館の役割はますます重要になっていくでしょう。そんな医心館を現場から支えていきたいです」と彼女は語る。

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