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退院後の療養先の選び方|医療ケアが必要な方・ご家族が知っておきたいポイント

2026.07.01

医心館お役立ちガイド

画像素材:PIXTA

「そろそろ退院を考えましょう」。親が入院中の病院で退院の勧めがあり、どうしようか途方に暮れてしまった――。病気を抱える親や伴侶を支えるご家族が、このように話すケースは少なくありません。
特に退院後も医療的な処置やケア(医療ケア)が継続して必要な場合、「病院でなくて大丈夫だろうか」「家で看られるだろうか」「医療処置に対応する施設はあるのか」など、様々な不安が募るのも無理ないことです。退院は、医療が終了するという意味ではありません。必要な医療ケアを受けながら生活する場に移るための重要なステップです。この記事では、「退院後も日常的に医療ケアを必要とする方」の療養先を選ぶときに知っておきたいポイントを整理します。


退院は生活の場に移行するための重要なステップ

現在、日本の病院では入院日数が以前よりも短くなっています。病院ならではの治療が終了すれば速やかに退院して次の入院を必要とする患者につなぎ、病院は病院としての機能を常に発揮できるような医療政策が推進されています。入院するご本人やご家族にとっては、治療がひと段落したと思ったら「もう退院か」と焦ってしまうこともあるでしょう。

とりわけ「退院後も日常的に医療ケアを必要とする方」は、そうでない方よりも療養先選びが困難になりがちです。退院後も医療ケア、例えば人工呼吸器の管理や点滴からの薬剤管理、痰の吸引、疼痛コントロール、褥瘡ケア、食事や排せつの介助等を必要とするため、生活の場と医療ケア体制の両方を検討しなければなりません。

現実的な検討に当たり、「受容」や「時間」が課題になることもあります。ご本人やご家族が病状や今後の見通しを受け止め「受容」し、これからの暮らしに目を向ける気持ちの整理ができてから時間をかけて最適な療養先を探す――とできればよいのですが、気持ちの整理がまだ十分でないときに時間があまりないなか療養先探しに奔走することもあります。

しかしながら退院は、生活リズムも食事も含めて治療に集中する病院から、暮らしを中心におく生活の場に移行するための重要なステップです。退院後に安心できる穏やかな生活を続けるうちにご本人もご家族も病状や今後の見通しを受け止め受容が進むことも多くあります。可能な限りご本人の希望に沿った暮らしが叶うよう、支える側の家族の負担を鑑みながら療養先を選んでいきます。


「自宅or施設」を検討するときの判断軸5つ

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退院後の療養先選びは、病院の医療ソーシャルワーカーが具体的な相談に乗ってくれます。医療ソーシャルワーカーは退院調整の専門家です。ご本人の病状や意向を鑑みどのような療養先が適しているかをともに考え、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどほかに相談すべき相手についても案内してもらえます。

退院にあたっては自宅に帰るか、施設に移るかをまず決めていきます。住み慣れた自宅で自由に暮らせればよいですが、病状等を踏まえると現実的な選択ではない場合もあります。以下の判断軸5項目について洗い出し整理しておくと医療ソーシャルワーカーとの話し合いや療養先探しがスムーズになります。

(1)退院後に必要な医療ケアや介護の確認

退院後にどのような医療ケアが必要になるかを確認します。ご本人の状態や処置によってご家族などの支え手に求められる負担が異なります。

〇退院後も継続が必要になる主な医療ケアの例

在宅酸素療法や人工呼吸器、気管切開部の管理、痰の吸引、点滴や中心静脈栄養、CVポートの管理、胃ろう・経鼻チューブによる経管栄養、尿道留置カテーテルやストーマの管理、褥瘡や創傷の処置などがあります。また、血糖測定やインスリン注射、医療用麻薬を含む薬による痛みや息苦しさの緩和、発熱・呼吸状態・意識状態の変化への対応、お看取りを見据えた終末期ケアなど

例えば人工呼吸器は、自分の呼吸だけでは十分な換気を保てない方に対して、呼吸を補助または代行する医療機器です。人工呼吸器を使用する方のケアでは、機器が正常かつ適切に作動するよう管理します。機器の作動状況や設定、呼吸回路の外れ・折れ、アラームの確認をしたり、痰がたまったときの吸引や気管切開部の適切な管理などがケアの例として挙げられます。また、機器の不具合や停電、急な呼吸状態の変化に備え、予備電源や緊急時の連絡・対応方法をあらかじめ整えておくことも重要です。

人工呼吸器の管理や頻回な痰の吸引が必要な場合、昼夜を問わず状態を確認したり、アラームや呼吸状態の変化に対応したりする必要があるため、支え手の身体的・精神的な負担が大きくなることがあります。療養先を選ぶ際には、人工呼吸器管理への対応、急変時の医師との連携、家族の負担に対する支援体制などを確認します。

一方で、日常生活を送るために最低限必要な日常生活動作(ADL、起居動作、移乗、移動、食事、更衣、排泄、入浴、整容の動作)の自立度の確認も大切です。入院後、新たに介護が必要になるケースでは、退院後に介護保険サービスを受けられるよう要介護認定の申請をします。

(2)ご本人の退院後の生活の希望

療養先選びでは、ご本人が「どのような時間を過ごしたいか」が大事な視点です。病状に応じて制約や配慮しなければならないことはありますが、遠慮せず具体的な希望を伝えることが満足度の高い療養先選びにつながります。医療ケアを適切に受けたうえで何をしたいか、どんな暮らしとしたいかを明確にします。例えばがんで強い痛みがある方の場合、「痛みのない暮らし」を希望する方が多いですが、痛みを取ったうえでどんな暮らしをしていきたいかをイメージします。

「自宅に帰って一人で暮らしたい」「家族に面会してもらいながら安心できる施設で暮らしたい」

「人工呼吸器を使用していても定期的に入浴したい」「個室で好きな音楽を好きな時に聞きながら過ごしたい」

ご本人の希望を確認して、ほかの諸条件をすり合わせていきましょう。ご本人の希望は様々な情報を得ることで変わっていく場合もあります。

(3)ご家族の状況や対応可能なケア負担

自宅に帰り医療ケアや介護の担い手としてご家族を想定している場合、ご家族の状況や対応可能なケア負担について整理しておきます。仕事や子育て、学業などの事情を考慮し、医療ケアや介護にかかわることが可能なタイミングや時間がどのくらいあるのか検討します。

また自宅での療養時、訪問診療や訪問看護、訪問介護、訪問入浴、通所サービス、ショートステイ等の医療保険や介護保険で利用できるサービスの選択肢があります。自宅周辺にそうしたサービスを提供する事業所があるか、家族では負担できない部分をカバーしてもらえるかを医療ソーシャルワーカーやケアマネジャーに相談しながら調べます。

日常的に医療ケアを必要とする方の場合、突発的な状態の悪化を起こすこともあります。訪問診療や訪問看護などの事業所が夜間を含めて24時間連絡を受け付けているかも確認します。

(4)住居環境

自宅に帰る場合、ご本人にとって自宅が安全に過ごせる環境かを改めて確認します。病状やADLによっては自宅のちょっとした段差が危険な転倒につながるリスクがあります。段差のほかにも滑りやすくないか、立ち上がり等に必要な手すりはあるか、車椅子で動ける広さがあるかなどを確認します。病院スタッフやケアマネジャーが退院前の家屋調査を実施する場合もあります。福祉用具のレンタルで解消できる課題は多いですが、手すりを付ける、段差を解消するなどの住宅改修を検討すべき場合もあります。

(5)どのくらいの費用をかけられるか

ご本人の年金や退職金、預貯金などからどのくらいの費用を準備できるのかを確認します。費用には、住宅改修や施設の一時金など一時的にかかるものと医療・介護サービスのように月々かかるものがあります。公的保険制度で提供されるサービスは、自己負担割合によって負担額は大きく変わります。

また医療や介護に関しては、高額療養費制度や指定難病患者への医療費助成制度などがあります。自治体独自で用意している助成制度もありますので医療ソーシャルワーカーやケアマネ、地域包括ケアセンターに相談していきましょう。


施設の選択肢の一つ「ホスピス住宅」

上記のような判断軸の検討を経て「施設」が療養先の希望になることもあるでしょう。「医療処置に対応する施設があるだろうか」と不安になるかもしれませんが、今は日常的に医療ケアを必要とする方を積極的に受け入れる施設があります。

その一つが「ホスピス住宅」です。ホスピス住宅は日常的に医療ケアを必要とする方が安心して過ごせるよう、有料老人ホーム等に訪問看護や訪問介護の事業所を併設させ、24時間365日にわたって必要な医療ケアや介護を提供できるよう工夫した施設です。

各社によって運営方針はさまざま異なります。例えば医心館では医師の指示のもと、以下の表のような医療処置や疾患等に対応しています。全国どこの医心館でも対応可能な医療処置や疾患は変わりません。医心館はご本人やご家族の意向・希望を伺い、ご本人の希望に沿った暮らしが叶うよう看護や介護のプロが知恵や工夫を凝らしてケアを提供しています。医師やケアマネジャーなど外部の多職種との連携も密に取りながら、入居者様の暮らしを支援していきます。主な特徴を6つ挙げると以下のようになります。

・看護師・介護士による24時間365日ケア
・一時金ゼロ、低価格ホテルコストプラン
・かかりつけ医やケアマネジャーの継続が可能
・全室個室、24時間面会可能
・医療事情により緊急入居にも対応

また医心館の場合、「地域連携看護師」と呼ばれる臨床経験豊富な看護師が入居相談に応じています。「退院先が決まっていない」「3日後に退院と言われて困っている」「痛みや呼吸苦などの症状に対応してほしい」など、入院中の方からの様々なお問い合わせに対応しています。助成制度にも詳しいのでぜひお問い合わせください。

退院後の療養先選びに絶対的な正解があるわけではありません。同じ疾患を患っていても症状、医療ケアの内容、ご本人の希望、ご家族の状況によって「心地よい」「安心できる」と考える療養先は異なります。専門家のアドバイスを得ながら、ご本人やご家族にとって納得できる療養先を探していきましょう。

医心館で対応する主な医療処置・医療ケア
分類 対応する主な医療処置・医療ケア
呼吸に関する医療ケア
  • 在宅人工呼吸器の管理
  • NPPV・NIV(非侵襲的換気療法)の管理
  • TPPV(気管切開下陽圧換気療法)の管理
  • 在宅酸素療法(HOT)
  • 気管切開・気管カニューレの管理
  • 口腔内・鼻腔内・気管内の痰の吸引
  • 吸入・ネブライザー
  • 排痰ケア
点滴・中心静脈栄養・輸血
  • 末梢静脈点滴・静脈注射
  • 皮下点滴・皮下補液
  • 持続静脈注射・持続皮下注射
  • 中心静脈栄養(IVH・TPN)
  • 在宅中心静脈栄養(HPN)
  • 中心静脈カテーテル(CVC)の管理
  • CVポート・PICCの管理
  • 輸液ポンプ・シリンジポンプの管理
  • 輸血・輸血後の観察
経管栄養・栄養管理
  • 胃ろう(PEG)による経管栄養管理
  • 腸ろう・空腸ろうによる経管栄養管理
  • 経鼻胃管・経鼻チューブによる経管栄養管理
  • PEG-Jなどによる経管栄養管理
糖尿病・透析に関する医療ケア
  • 血糖測定
  • 持続血糖測定器(CGM)の管理
  • インスリン注射
排尿に関する医療ケア
  • 導尿・間欠的導尿
  • 膀胱留置カテーテルの管理
  • 膀胱ろう・腎ろうの管理
  • 尿管皮膚ろうの管理
  • 膀胱洗浄・持続膀胱洗浄
ストーマ・排便管理
  • 人工肛門(結腸ストーマ・回腸ストーマ)の管理
  • 尿路ストーマの管理
  • 浣腸・摘便
褥瘡・創傷に関する医療ケア
  • 褥瘡処置
  • 手術創・感染創の処置
  • 皮膚潰瘍・難治性潰瘍の処置
  • がん性創傷・がんの自壊創の処置
  • 陰圧閉鎖療法(NPWT)の管理
ドレーン・胸水・腹水の管理
  • 胸腔ドレーン・腹腔ドレーンの管理
  • 胆道ドレーンの管理
  • PTCD・PTBDの管理
  • 胸水穿刺・腹水穿刺前・後の管理
  • 留置型胸腔・腹腔カテーテルの管理
疼痛管理・症状緩和
  • 医療用麻薬を含む薬剤による疼痛管理
  • がん疼痛・慢性疼痛の管理
  • オピオイドの内服薬・貼付薬・注射薬の管理
  • レスキュー薬の使用・効果確認
  • PCAポンプの管理
  • 持続皮下注射・持続静脈注射
感染症・保菌状態への対応
  • HIV感染症への対応
  • MRSA等の保菌者への対応
急変時・終末期への対応
  • 医師への報告・臨時往診との連携
  • 急変時の対応
  • がん・非がん疾患の終末期ケア
  • 緩和ケア
  • ACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)
  • 本人・家族の意思決定支援
  • お看取り
  • ご家族への支援・グリーフケア
医心館で対応する主な疾患
  • 末期の悪性腫瘍(末期がん)
  • 人工呼吸器を使用している方
  • 気管切開・気管カニューレを使用している方
  • パーキンソン病・パーキンソン病関連疾患
  • その他の神経難病・指定難病
  • 褥瘡、皮膚潰瘍、がん性創傷・自壊創がある方
  • 後天性免疫不全症候群(AIDS)
  • 緩和ケアや終末期ケアを必要とする方
  • 継続的な医療処置を必要とする方
  • お看取りを希望される方
  • 肺炎・誤嚥性肺炎を繰り返す方
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