先輩インタビュー

医心館は病院とも施設ともまた違う世界

看護管理者
五十嵐 真

医心館は病院とも施設ともまた違う世界

医心館、看護管理者を選んだ理由

総合病院の集中治療室に長く勤務していて、正直なところ、総合病院の集中治療室を辞める気もなく、ずっと集中治療に関わっていけたらいいなという風に思っていた矢先に母親が、脳出血で右半身麻痺になり、家での介護が必要になりました。父親だけでは介護が厳しいので、土日が休みで、実家に帰って手伝える勤務形態のところがないかと探していた時に、医心館の求人を見つけ、入職したという経緯です。

集中治療室にいる時から、集中治療は、1分1秒長く命を繋ぐというところを誇りに思って仕事はしてきたのですが、やはり人が亡くなるということが、本当にこれでいいのかなと思うことが多かったのです。人工呼吸器に繋がれ、体外循環で、生かそうと思えばいくらでも生かせることができる今の医療技術の中で、その人らしく亡くなっていくことが出来ているのだろうかというのは、ずっとジレンマでした。それが、医心館に転職を決める最後の一押しになったのかなと思います。

管理者として勤務してみて・・・

本当に最初は家庭の事情で、管理者の勤務形態を選択せざるを得なかったのですが、やはり、集中治療室での経験しかなくて、介護施設を知らないのに入社するというのも恐怖でしかなかったですね。本当にやっていけるのだろうかと不安でした。師長をしていたこともあって、管理職で入職はしたのですが、果たして自分がその病院の師長の経験だけで、できるのかというのは、最初はもう不安だけでしたね。

不安を解消できた一番の理由は、医心館福島のスタッフの存在が大きく、サービス提供責任者・事務・地域連携・看護・介護スタッフなどが、わからないことがあるとすぐレスポンスをくれて、「こうした方がいいんじゃないですか」や「こういう風にできますよ」とか、すぐ助け船をくれたことです。
日数が経っていくと、看護部や採用部などの社内のつながりもできてきて、いろんな人に、手を借りながらやっていけたこともあって、本当に、たくさんの人に、助けてもらって、不安が解消してきたというところですね。

 

医心館の魅力

医心館が、医療施設型ホスピスというところを打ち出しているので、ご入居者様が亡くなる時に、その人や家族の価値観や生きざまがすごく現れる瞬間だなと感じます。
「最期はこう過ごしたい」とか、「最期はこう終わりたい」というような、人間にとって本当に一番大事な部分が出てくる瞬間に立ち会って、それをケアで具現化して、提供して、あとはご本人とご家族と、いろんな思いを共有していくというところができるのが、この医心館の素晴らしいところかなと思います。
介護をこれだけ手厚く配置することによって、「無理だから」「それはメンバーが足りないからやめておこう」ということがあまりなく、とにかくやってみようというスタンスで対応できるので、そこがすごくいいなと思っています。

病院との違いは

一番の違いとして、訪問看護、もしくは施設看護のシステムというところが、戸惑う部分かなと思います。
管理者としても、今まで病院だと、電子カルテに打ち込めば請求までスムーズに流れていたものが、医心館では、自分で位置立てをしなくてはいけないことや、レセプトをまとめなくてはいけないというような感じで、 自分自身が経営やレセプトに関わるというのが、大分違うところだと思います。

あとは、やはり在宅なので、できること、できないことが大分あって、病院で長く勤めていたスタッフからしてみれば、なんで点滴しないのだろうとか、なんですぐ検査できないのだろうとか、そういう戸惑いが見受けられますね。でも、そこも面白い点で、在宅だからこそ、創意工夫が必要で、検査できないけど、どうやってそれを評価するかとか、どういう風に先生にこの状況を伝えるかというところは、 やはり看護師でないとできない、スキルの発揮のしどころなので。
特に、急性期から医心館に来られる方は、ちょっとスキルダウンするイメージや、ちょっと妥協をして施設に、というような感じもあるのが事実だとは思うのですが、医心館の場合には、本当に急性期のスキルをそのまま活かせるところは、急性期の人たちからしてみれば、一つの安心要素なのかなと思います。

その反面、慢性期の経験を持った方が、医心館のご入居者様を見られないかということはなくて、いろんなバックグラウンドの職員がいることによって、満遍なくご入居者様を看られるというところも病院との違いかなと思います。ある一定の診療科しか看られないとかではなく、満遍なく、いろんな診療科が看られて、慢性期も急性期も病院で使っていたスキルが使えるところが、医心館の魅力であり、病院の看護との違いですね。
あとは、忙しくないって言ったら嘘になりますけど、病院と比べると、時間の余裕をもってご入居者様と会話できたり、 その人の一生の終わりに向けての人生設計を、ご入居者様本人、ご家族と一緒に考えながら進められたりするところも、病院との大きな違いだと思います。

病院だと、先生の鶴の一声で、「点滴やりましょう・やめましょう」「もう無理だから諦めましょう」みたいな感じだったのが、看護師、介護士が多いことによって、ご入居者様のご家族から我々が話を聞いて、まとめて先生にお伝えすることで、ご入居者様のご希望に沿っていろんなものが進んでいく感覚があるので、 そこも病院との大きな違いかなと感じます。

 

介護士とのかかわりについて

私自身、病院にいる時は介護士との関わりが全くなくて、医心館に来て初めて介護士と一緒に仕事をしたのですけど、本当に介護士って“生活のスペシャリストだな”というのが私の率直な感想です。サービス提供責任者が優秀ということもありますが、介護士の方たちは看護師とは目線が違っていて、生活ベースで物事を考えていてくれていたり、本当に介護士にしか引き出せないご入居者様の悩みとか、辛さとかを引き出せたりするので、介護士ってすごいなというのが、私の率直な介護士に対する印象です。生活のことをスペシャリティーで考えられる集団と、医療側面から考えられる集団がマッチングしているのはなかなか他の施設はないと思います。

看護と介護で壁がないか、溝がないかと言われると、決してそうではないので、看護と介護の合同カンファレンスを毎日行っています。その中で大分介護士から発言が出てくることが多くなってきています。
やはり大きな枠組みの中で、看護と介護がいがみ合うような職場にはしたくないので、私の方から、「介護さんってすごいよね」というような発信はちょっと多めにするように心掛けています。

多分、介護というものに関して、日本の社会システム的に、“看護のお手伝い”という、先入観や構図が出来上がってしまっているので、医心館の管理者の方は、強制的にでも考えを少し介護士よりにした方がちょうどいいのかなと常々思っています。

心に残るエピソード

去年あった事例ですが、がん末期で入居されている方で、奥様がすごく献身的に、ご主人様を見てらっしゃる方がいました。その方が、どうしても、ワンちゃんと面会したいということで、玄関のホールを使って、ワンちゃんと面会して頂いて、少しご家族との時間を作っていたのですが、最期が近づいてくると、奥様が、現状を受け入れられなくて、「入院させた方がいいじゃないか」とか、「家に連れて帰って家で看取った方がいいじゃないか」とか、いろんな思いが出てきました。

そんな中で、看護、介護がそれぞれお部屋に伺った時に、奥様からしっかりお気持ちを聞いて、いろいろな話をする中で、徐々に奥様もご主人様の状況を受容されてきました。
スタッフからは、奥様が疲れているみたいだから、ご主人様のベッドの下のところにマットレスを敷いて、横になってもらった方がいいのではないかという提案があり、そうしたところ、ご自宅でも同じようにされていたようで、「家みたいだ」と言って、泣いて、本当に喜んでくださって、もうここが家みたいなものだから、もう医心館で最期の時間まで過ごしたいと言っていただきました。

最期はご家族も全員集合で、ワンちゃんも駐車場に来ている中、見送られながら旅立っていかれました。ご退去後、手続きにいらっしゃった奥様が、晴々とした表情で「本当によかった」と言ってくださいました。
現場発信で、いろいろなアイデアを出した結果で、本当にこれは医心館らしいエピソードで、医心館福島のスタッフを自慢できるエピソードだなと思います。

医心館への転職を考えている方へのメッセージ

業務的なことを言ってしまえば、ある程度のスキル・経験がある方、というところはあるのですが、病院でやっていることに、少し不完全燃焼感を感じていたりとか、もう少し患者様との時間を大事にしたいなという風に思っていたりする方は、医心館を選択肢に入れていただくと、またちょっと世界が変わるのかなと思います。

多分、病院とも施設ともまた違う世界が見えると思うので、何か新しいことにチャレンジしたい、自分の看護、看護観をもっと広めていきたいという人は、医心館に是非来て頂いて、自分の見える世界を広げていただけたらいいと思います。

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